■LED水草水槽■

自作したLED照明を使っての水草の育成を初めてみました。

一応、自作したLED照明でも水草を育成が出来るようなのでご紹介
したいと思います。(※どれも初心者向けの簡単な水草ですけど)
   
LEDで水草を育てるには、照明は光の強さだけでなく光合成に必要な
光の波長を満たすことが重要で
植物の光合成反応ではクロロフィル(葉緑素)が光を吸収することにより
行なわれ、波長660nm近辺の赤色は光合成に有効。 450nm附近の
青色は形態形成や光屈折性に関わっているそうです。
LEDの場合、蛍光灯やメタハラなどの照明と違って出力される光の
スペクトルが独特です。一般的な白色LEDは光合成に必要な赤系の
波長が大きく不足している為、単純に明るいLEDを使って光量を稼げ
ば良いワケではなく、そこが難しい所でした。
LED照明を使った水草水槽の経過についてはブログにて掲載中です。
ブログ⇒自作のLED照明で水草水槽に挑む

  

自作LED水槽用照明、1号 (40cm水槽)

本体部分はアルミ材のアングルの組み合わせで出来ています。
使用したLEDは日亜化学の白色パワーLED×4発
OptoSupplyのRGB-LED×3発(青・赤のみ使用)となっています。
明るさ、30cm距離直下:約5400ルクス。60cm直下:約2900ルクス。
電源:12V(スイッチング式ACアダプタ) 消費電力:約9.5ワット。
詳細は⇒製作記事へ

   

自作LED水槽用照明、2号 (60cm水槽用)

同じく本体部分はアルアングル材です。
主なLEDは白色パワーLED×8、660nm赤LED×3、RGB-LED(青)×3
明るさ、30cm距離直下:約6000ルクス。60cm直下:約3500ルクス。
電源:12V、 LED消費電力:約21.8ワット。
詳細は⇒製作記事その1 製作記事その2


<LEDで水草を育てる・光合成の概要>

下のグラフはクロロフィル(葉緑素)の光の吸収スペクトルです。 (※グラフは大雑把なもので正確ではありません。)

グラフを見ると植物は、主に青と赤を利用しているのが判ります。
クロロフィルaの吸収スペクトルは青が波長430nm辺りがピークで、赤が約663nmがピーク。 クロロフィルbでは青は460nm、
赤が645nmがピーク波長です。中間の緑~黄色(500~600nm)はあまり利用してないのが判ります。
だから光合成で使わない緑色の光が反射されて植物は緑色に見えるワケです。

光合成に対しては640~690nmの赤色の効果が大きく、葉の正常な形態形成には420~470nmの青色が重要だそうです。
また、植物の成長には青と赤の光バランス(R/B比)も大切で4~15が良いらしい、とりあえず赤色を多めにです。
一般的な白色LEDは逆で、青色が多く赤色が少ないので赤色を補わないとなりません。
他にも色々とあるのですが割愛、植物育成の光作用はこちらのサイトを参考としました→岩崎電気_光形態形成の反応

    
クロロフィルaとクロロフィルbについては下を参照 ↓ (※出典:新しい光合成色素の獲得と植物の進化)

原核生物 真核生物
  藻類 陸上植物
シアノバクテリア 源核緑藻 紅藻 褐藻 緑藻  
クロロフィルa

クロロフィルa

クロロフィルb

クロロフィルa

クロロフィルa

クロロフィルb

表からクロロフィルaはコケ類も含め全ての植物にあり、クロロフィルbは緑藻と高等植物しか持っていないみたいです。
クロロフィルbの波長だけカバーするLEDで水草育成が可能ならコケない照明が作れるような気もします。
   
● 一部のコケは緑色の光で光合成する
藍藻類や紅藻類などが持っているフィコビリンという光合成色素は、波長500~600nmの緑~黄の光を吸収して効率よく
光合成に利用するらしいです。紅藻類には悪名高い黒髭コケがあるので出て来られると最悪。
あまり過剰に緑~黄の光があると、藍藻や黒髭コケに良好な光環境になりかねないので注意したいところです。

こちらのサイトに詳しく書かれていました→ 植物と光

   

● 白色LED、電球色LEDの波長

グラフは、例として日亜科学LEDの白色と電球色(NSD570GS、NSDL570GSーK1)の光のスペクトルです。

一般的な白色LEDが白い光を出す方式は、青色LED+黄色蛍光体の組み合わせで白く発光させる擬似白色光です。
波長のピークは青、あとは緑~黄色の成分で赤色は弱くなっています。これでは光合成で重要な赤色波長が不足して
しまうから水草育成には力不足です。これをカバーするマルチスペクトルな白色LED(高演色やマルチチップ等)もありま
すが入手が難しいうえ値段も高価です。安ければ欲しいのだけど ;
電球色LEDの方は、蛍光体に赤色系などが入るので波長は黄~オレンジが強くなっています。
そして赤の波長も豊富なので電球色LEDなら水草育成が上手く出来そうな感じがするんですが、これだと全体的に色合い
が電球色(黄色っぽい)になり、水草水槽の爽やかなイメージから離れてしまいそうです・・・^^;
それと緑~黄のスペクトルも豊富だから紅藻類(黒髭コケなど)にも良好で、下手するとコケが蔓延るかもしれません

      

 

  


     

● 青LEDと赤LEDを使ってダイレクトに不足した波長を補う

下のグラフはクロロフィルの吸収波長にRGB-LEDのスペクトルを重ねたものです。

単色LEDのスペクトルは鋭く余計な波長は出さないのが特徴です。
そこで、照明のメイン光源として白色LEDを使い、水草の育成に不足しているスペクトルを青・赤の単色LEDでダイレクトに
補ってやるのはどうだろう?、と考えました 。
クロロフィルaの吸収スペクトルのピークは青(430nm)、赤(663nm)。クロロフィルbのピークは青(460nm)、赤(645nm)。
青色の吸収波長については、一般的な白色LED+青LEDでなんとかカバーできそう(紫LEDがあれば完璧)。
問題なのは赤色。吸収波長の645/663nmを満たす必要があるのですが、残念な事に一般的な赤LEDは波長620~630nm
なので、クロロフィルa/b共に範囲を外しちゃいます 。
植物ではクロロフィルaが光合成の主要色素なので、660nm赤色LEDが光合成に効果的だと言われており、 植物栽培用に
波長660nmの赤色LEDが売られていますが、値段が凄く高いので出来れば利用したくありません ^^;
微妙ですがクロロフィルbは吸収波長の630~650nm辺りなので、辛うじて630nmの赤LEDならカバー可能なんじゃ?と思い、
ネットで検索したら、一般的な赤LED(625nm)で問題なく植物を育成できたというブログを発見 ↓
LED照明で植物栽培(LED園芸)というブログ625nmと660nm赤LED照明での生育比較の記事で、ハーブ類をLEDで育成し、
660nmと625nmの赤LEDで効果の違いを検証されています。結果的にあまり違いはなかったみたいです。
果たして625nm赤LEDで水草も同じように上手く育つか?これについては40cm水槽用LED照明にて実施中。

    

  

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