LEDの活用について 基本的なパーツの説明など

LEDについての特性やスペック表のパラメータ、性能を示す値などの説明をまとめてみました。

 

基本/・LEDの極性について  ・LEDと回路図記号   ・LEDスペック表のパラメータについて
 

回路/・LEDに適切な電流を流す  ・抵抗器を使って定電流する  ・CRDを使って定電流する  ・定電流ドライバ
 

資料/・LEDのデータシート(仕様書・技術資料)について  ・明るさの単位について(カンデラ・ルーメン・ルクス・色温度)

 

 

LEDについて

LED(発光ダイオード)は、電気を流すと発光する半導体電子部品です。
白熱電球に比べ発光効率が良く省エネ、正しく使えば寿命も非常に長く
扱いも容易です。発光させる電気回路も単純なので手軽に自作のライト
や車用バルブなどが作れてしまいます。

さて、一概にLEDと言っても色々な種類があります。
まず発光色別ですが代表的なのだと、赤、黄(橙)、青、緑、白、電球色
他にピンク、青緑、紫(UV)、赤外線なども。
パッケージ別ではザックリと紹介するとチップ型、砲弾型、帽子型、Flux、3chipSMD、パワーLED等があります。

 

 

●LEDの極性について

LEDには極性があり、反対向きには電流が流れず点灯しません。
点灯させる為にはアノードを電源の+側、カソードを-側に接続すればOK。(注※LEDへ適切な電流を流す制限回路が必要)
ここでは、とりあえず砲弾型LEDとFluxLEDの極性について紹介します。

砲弾型LEDの場合は、脚の長い方がアノード(陽極)、短い方がカソード(陰極)です。脚を短く切ってしまって判らない場合はLEDの
樹脂内部の電極が小っちゃい側がアノードで、大きい側がカソードというように見分けられます。
FluxLEDの場合は脚が4本あるので混乱するかもしれませんが、2本一組みになっているだけ。よく見ると中で繋がっています。
極性は カソード側の本体樹脂に切り欠きマークがあって見分けられるようになってます。
切り欠きを右上の状態で、左側2本がアノード、右側2本がカソードになります。慣れると内部電極の配置で簡単に見分けられます。
 

 

 

●回路図記号 

電気回路を示す回路図の記号です。LEDを使う時に基本的になるものをあげてみました。
ひとまず、これだけ知ってれば困らないんじゃないかなと、LED通販サイトの参考回路図なども読めるはずです。
LEDとCRD(定電流ダイオード)等は回路記号上でもちゃんと極性が示されているので注意。

 

 

 

 

 

●LEDスペック表のパラメータについて

(右の某電子部品サイトを例にして解説します)

※まず注意として、仕様(Ta=25℃):これは、周囲温度が25℃の条件で使ったなら
という事です。書いてない時もありますが一般的に常温が条件です。
LEDは熱に弱い(80~100℃が限界)ので、温度が高いほど特性が悪化します。


点灯する為に重要になる注目すべき項目は → ◆ VF:3.4V(標準)(@20mA)
@20mAは、LEDへ流す電流 【順電流 (I f)】で、VF:3.4V はLEDへ順電流(I f)を流した
ときに起きる電圧降下 【順電圧(Vf)】です。

※LEDに適切な電流を流す方法は後の方で説明します。

 

◆ (標準)、とあるのは標準で動作させたLEDの能力という事。
これはメーカーが発表しているLEDのデータシートの『電気的特性』の項目です。
電流をこの値で点灯させていれば、とりあえず問題ないです。

 

◆ 最大電流:30mA
これは絶対定格電流で、一瞬たりとも30mAを超えて電流を流してはダメという事。
◆ 輝度:25000mcd (標準)(@20mA)
これはLEDの明るさです。順電流20mAで点灯させたとき25000mcdあるという事。

単位mcd(ミリカンデラ)、1cd=1000mcd。 >>明るさの単位について
◆ 逆耐圧(VR):5V
これは逆向き(LEDが点灯しない向き)で電圧を 5V以上かけると逆電流が流れて
LEDが壊れる恐れがあるという事。
◆ 指向角 (半減角):15度
これはLEDの光の広がり、指向特性を表します。LEDの真上の光度を100%として、
その明るさが50%なる角度θ1/2、両側で 2θ1/2 と表します。

このLEDでは光源真上から7.5度傾いた角度で光度が半減、両側合わせて15度。
◆ PD:120mW (1W=1000mW)

LEDが許容できる電力の最大値(許容損失)です。定格順電流を守ってればOK。

 

 

 

●LEDへ適切な電流を流すために電流の制限をする

LEDの明るさは流れる電流によって決まるので、必要な電圧以上があればOK。
流す電流については、先に説明したLEDの例では順電流(If)20mAが標準ですが、これは周囲温度が25℃と涼しい条件の場合です。
複数LEDを密集して使ったり、発熱が籠もる状態で長時間点灯する等、熱くなる場合、温度条件によってLEDが許容できる電流も減って
くるので、応じて電流を少なく抑える必要があります。
(※これについてはデータシート解説で説明します。 LEDのデータシートに記載の〝周囲温度-許容順電流特性〟を参照。)
さて、電流を制限する方法は、抵抗器を入れる、CRD(定電流ダイオード)を入れる、定電流ドライバ回路を入れる、等があります。

 
■ 抵抗器を使って電流を制限する

抵抗器は電流を流れ難くする部品で、抵抗の単位はΩ(オーム)。抵抗値の計算が面倒ですが慣れると使い易く値段も安い。
使うには先に説明したスペック表の 項目の順電流(I f)と順電圧(Vf)が重要になってきます。
例: VF:3.4V(標準)(@20mA)。これの意味は、『LEDに20mA流して点灯させた時、3.4Vの電圧降下がある』という事です。

なので、このLEDの場合では電源は3.4V以上の電圧が必要です。
LEDへ狙った電流を流すための制限抵抗を求めるにはオームの法則、抵抗(R)=電圧(V)/電流(I )の式で計算します。
{ 電源の電圧 - LED順電圧(Vf) } ÷ 順電流(I f) = 抵抗
 

例① : LEDが Vf:3.4V、I f:20mAで、電源12VでLEDに20mAを流したい場合の抵抗器の抵抗値は

(12V-3.4V)/0.02A=430Ω となります。 (※1A=1000mA)
 
例② : LEDがVf:3.4V、I f:20mAで、電源12VでLEDを3つ直列に繋いで20mAを流したい場合の抵抗値

{ 12V-(3.4+3.4+3.4)V } /0.02=90Ω

※抵抗器の抵抗値は規格で決まってるので、計算した抵抗値のものが無い場合もでてきます。その時は余裕を見て大きい
抵抗を選ぶようにします。(90Ωの規格はない→ 91Ω)

 

・抵抗器のワット数 (定格電力)
定格電力とは抵抗器が耐えられる消費電力(ワット)の事です。抵抗で電流を制限すると余った分が抵抗器で消費されて
発熱がでます。この発熱(消費電力)に耐えられる抵抗器を使わないと壊れて(焦げる)しまいます。
定格電力の規格は、1/6W、1/4W、1/2W、1W、2Wなどがあり、ワット数が大きいほどサイズの大きい抵抗器になります。

抵抗器の消費電力の計算 
例えば、電源12V、LEDがVf:3.4Vへ20mAを流す場合では430Ωの抵抗が必要ですが、このときの抵抗器の消費電力は

(12V-3.4V)×0.02A=0.172W  なので1/4W(0.25W)の定格電力のもの以上を使います。
 

 

 

  

■ CRD(定電流ダイオード)を使って電流を制限する

CRDは動作に必要な電圧(肩特性Vk)を満たしていれば、電源電圧が変動しても
一定の電流で制限してくれる便利な部品です。
抵抗器と比べて値段が少し高いです。

パッケージには右図の抵抗みたいな形のものと、小型チップのものがあります。
規格で5mA、10mA、15mA、18mA、20mA、25mA、30mAという具合に出力電流に

種類があり、任意のものを選択して、上の回路図のように繋ぐだけでOK。

ただし、CRDにはLED同様に極性があるので注意。(本体にカソードマークがある)
間違って反対向きで使うと、定電流せずにそのまま直で電流が流れてしまうので、
LEDを壊す危険があります。

 

・ピンチオフ電流と肩特性(Vk)について

CRDのスペック表を見ると、ピンチオフ電流や肩特性の項目があります。

CRD E-153(15mA)を例にすると、ピンチオフ電流12~18mA(10V)、肩特性(Vk):4.3V

ピンチオフ電流とは定電流される電流で、電圧10VがCRDにかかってる時の値。
12~18mAと幅があるのは個体差によってこの範囲でバラつきがある為で、15mAとは
この範囲内の代表値です。

肩特性(Vk)は、ピンチオフ電流の80%の電流が流れる電圧。電圧が下回るほど流れる

電流が減少していきます。
なので、目安としてこの電圧以上がCRDに印加するように設計すればとりあえずOKです。

例:電源12VでVf:3.4VのLEDを2個直列の回路でCRD E153(15mA)を使う場合、
12V-(3.4V×2)=5.2V、 4.3V<5.2VなのでOKです。
しかし、Vf:3.4VのLEDを3個直列に増やした場合になると、12V-(3.4V×3)=1.8V。
1.8V<4.3V 、電圧が足りなくて厳しい・・・となります。
こんな感じで意外とCRDは要求する電圧が高いので電圧不足に注意が必要です。

※肩特性(Vk)の電圧に近ければ少しくらい電圧不足でも問題ないレベルで使えます。

 

・CRDは温度によって流れる電流が変化する

右の図はCRDのデータシートから抜粋したピンチオフ電流-温度特性のグラフです

ちょっと小さいので見難くなってしまいましたが・・・
周囲温度が上がるとピンチオフ電流も減って、逆に温度が下がると多くなります。

例えばE-153(15mA)を見ると、常温25℃付近で15mAですが、100℃の高温になると
約10mAに減っています。

 
・自己発熱による電流の低下
温度が上がると電流が減るので、CRDの電力消費による自己発熱の熱で電流が
減少します。
CRDの消費電力=ピンチオフ電流×CRDにかかる電圧
なので、CRDに高い電圧がかかっている程たくさん発熱がでます。発熱が多い程
電流が減少するので、電圧が高すぎると電流が減少します。
対策としては涼しい条件で使う。発熱が逃げるように放熱面が大きい場所に取り

付けるなど、工夫をすると良いと思います。
 

右図、下のグラフは、データシートから抜粋した動特性のグラフです。
動特性のグラフはCRDにどれくらい電圧をかければ、どれだけ電流が流れるか
目安が判るので活用すると便利です。
例えばE-153(15mA)を見てみます。(グラフ上で一番上の奴)
7V~10Vあたりをピークにして、それ以上の電圧では下がっていますね。

出力電流が大きいほど不安定、電流の小さいCRDほど一定した電流で安定して
いる傾向にあります。

以上、CRDは簡単に定電流できる便利は部品ですが、電圧と熱に気をつけて使う
必要のある、癖のある部品です。

 

  

 

CCR (定電流レギュレータ)〝Constant Current Regulator〟

オン・セミコンダクターの定電流レギュレータです。 使い勝手は石塚電子のCRDと
同じように使えます。製作例:>>CCRを使用した自作LEDバルブ
ただ、小型チップ状パッケージしかないのでハンダ付けに慣れた人向けと思います。
秋月電子の商品説明では、『幅広い電圧範囲で動作し、また定電流ダイオード等と
比較して定電流を得るための電位差が小さく済みます。』と謳われています。
実際に使ってみた感じは、確かに素直な特性のような印象。  まぁ、ほぼCRDと
大差ありません、何よりもコストが安いのが一番の好印象 ^^
あとはCRDにはない、20mA、25mA、30mAタイプが在るのが凄い便利です。
車用バルブなどではパワーのある明るい、電流を比較的多く流すパLEDを多用する
事が多いので、CRDを使うと大量に必要になるのですが、CCRだと2~3個くらいを
並列にして使えば事足りるので、LEDの定電流ドライバとして勝手が良いです。

 

 

 

● 定電流ドライバを使う

定電流ドライバは主にパワーLEDなど、たくさん電流を流して使うLEDを点灯するためのLEDドライバ回路です。
大量の電流(100mAとか350mAとか700mAとか)になってくると抵抗やCRDを使った電流制限では、抵抗だと発熱が大きくなってくるので
サイズの大き目な抵抗器を要するし、CRDでやると大量のCRDが必要になって不便になります。

そこで、たくさん電流を流せるコンパクトな制限回路が定電流ドライバです。

CRDと同じ様に必要な電圧を満たしていれば電圧が変動しようが一定の電流を
出力してくれます。
← 写真の奴はスイッチング式のローコストな定電流ドライバです。
定電流ドライバにはレギュレーター式とスイッチング式がありますが、
レギュレーター式は抵抗のように電力消費で発熱があるので、ここでは省きます。
スイッチング式は高効率で発熱がほとんどありません。
昔は価格が高いものでしたが最近はグッと値段が安くなって、手軽になりました。
明るさを求めてパワーLEDを使う場合にはお勧めです。
不便な点としては出力電流が決まっていること。
150mAや350mA、700mAという感じで出力される電流が固定されています。
※ちょっと改造すれば可変式としても使えます→ 定電流LEDドライバ改造
 

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