電池2本懐中電灯は薄暗いので嫌いなんですが、今回は明るいLEDライトを目指そうと思います。
そういえば、100円ショップに単1乾電池2本タイプでLED3灯タイプの昇圧回路付ライトもありました。でも点灯時間12時間とありました。
相当効率が悪いみたいだったのでスルーしましたが、どういう仕組みの回路なのちょっと気がかり・・・(・_・;?)
●ノーマルの懐中電灯の中身
開けてみると内部に空間が広く余っているので、昇圧回路を入れ込むのは楽そうです。
頭の部分をバラしてみると、すごく単純な部品の構成で組み立てられていました。電球は2.4V 0.75Aのビリケン球です。
この電球だと点灯時間はマンガンで3~4時間、アルカリで7~8時間程度だと思われます。
●使用するLED
使うのは日亜化学の30ルーメンの砲弾型LED。NSDW570GS-K1、光度P11ランク、 広角140°Vf:3.4V If:70mA 、30.3~36.0lm
省エネLED豆電球でも使ったLEDです。発光効率が良いので50~60mAの省エネで使ってもかなりの明るさが得られます。
砲弾タイプでここまでの激光のものは今のところコイツだけ、発熱もなく色も綺麗な純白なので気に入っています。
電灯の部品の金属製円盤(-極)にLEDを取り付けました。ユニバーサル基盤を小さく切り取って、接着しています。
その基盤にLEDを取り付けてハンダ付け、基盤の裏側に抵抗を取り付けて配線すれば、LEDユニットが完成。
今回使う昇圧回路の出力電圧は5V。やや省エネで約60mAとして27Ωの抵抗を入れました。
私の場合は、手持ちの抵抗に27Ωがなかったので、33Ωと150Ωを並列にして27Ωとして使いました。
●昇圧回路
前に、単3乾電池2本式のライトを超高輝度砲弾型LED6灯ライトにしましたが、そのときはLTC3202チャージポンプ回路でした。
この回路は高効率なのですが、高いので今回は使わないで別の方法にしました。
使う昇圧回路はコイツから取り外します。乾電池2本(3V)から5Vに昇圧するUSBソケット付の充電器です。
「USBポート 充電用電池BOX」(片山利器)、ラバーライトと同じく100円ショップにて売っていました。
電池ボックスの蓋を開けると中に小さい基盤が入っています。この回路をそのまま流用します。
基盤の裏に小さい3端子のICが実装、基盤の表には電解コンデンサ、インダクタ、ショットキーバリアダイオードがあります。
とりあえず、USBのソケットがこのままだと場所をとって邪魔なので取り外します。
●DC-DC 3V→5V昇圧の回路図
回路はこんな感じになっています。
ステップアップコンバータICのHT7750の基本回路そのままです。ICには、「E5 OG」の刻印があるだけで詳細不明です。
もしかしたらHT7750の類似品?でしょうか・・・・よく判りませんが。
HT7750と同じだとしたらインダクタの前に47μFのコンデンサを入れればもっと性能よくなりそうな気がします。
だが今回は面倒臭いので、手を加えないでそのまま使用。
先にUSBソケットを取り外したので、USB部分を通じる回路が断線しているのでそこをリード線で接続します。
さて、回路の電灯への組み込みは至ってシンプルです。
配線はVinを電灯のプラス極へ直接リード線で繋げています。VoutはLEDのプラス極へリード線でつなげてやります。
GNDは金属円盤上にリード線で繋げます(LEDのマイナス極も同じく金属円盤へ) これでOK。
昇圧基盤は、電球キャップの部分に固定しておきます。私はお手軽に滑り止めシートを挟んで輪ゴムでとめました。
本体に取り付ける前に、試しに点灯してみました。
昇圧回路があるおかげで乾電池1本だけでも、明るくLEDを点灯する能力があります。
使える電池が1っこしかなかった時とかは、アルミホイルを丸めてスペーサー代わりにして、緊急的に使う事もできますね^^
本体のラバーに取り付けてみると、蓋をした時に昇圧基盤が本体と干渉しそうに見えて心配になりますが、実は内部はスペースが
余って空洞なので、かなり余裕でした。
リフレクター内部のLEDの感じ。基盤が茶色く見えるのはちょっと気になるので、そのうち白かシルバーで塗装しようと思います;
点灯して壁に向けてみると、いい感じに集光されて明るいスポットが出来ていました!運良く反射の焦点にLED位置がきたようですw
スポット部分の照度を測定してみると、1m離れた位置で約300ルクスありました。かなり遠くまで明るく照らせます^^
●電池持続時間
今回のライトは、前回、前々回の100円懐中電灯のよりも省エネで、単1乾電池を使うので電池持ちはよくなっています。
昇圧回路からの出力は4.93V、62mA、0.306Wです。電池からは2.95V、120mA、0.354W(新品マンガン電池)となりました。
効率は、86%くらいとなります、100円充電器の昇圧回路にしてはまずまず。
切れてきた電池では、2.5V、143mA、0.358W、乾電池1本で駆動した時は、1.49V、240mA、0.358Wでした。
昇圧回路では電圧が低下すると電流をたくさん必要とするので、電池持続時間の判断が厄介です。
とりあえず、150mAで定電流放電で考えると、単1アルカリで約80~90時間、マンガンで30~40時間は持つはずです。
R20/LR20=単1形、 R14/LR14=単2形、 R6/LR6=単3形、 R03/LR03=単4形、 LR1=単5形です。
パナソニックのホームページにて公開されている乾電池のデータです。マンガンとアルカリの放電特性の表を抜粋しました。
大きい表と詳細は→パナソニック 乾電池の概要を参照。
標準特性・・・定電流連続放電(20℃±2℃)
●もっと電池持ちUPさせようと、自前で昇圧回路を作って省エネ化。(HT7733AステップアップDC/DCコンバータ)
100円のUSB充電BOXに入ってる回路は5Vに昇圧してしまうので、3.4Vあれば十分な白色LEDでは電圧が高い分だけ電気が無駄に
なっています。
で、前々から気になっていた
3.3Vに昇圧するステップアップDC/DCコンバータICのHT7733Aを使って昇圧回路を作ります。
今回は試した結果で一番成績がよかった構成、コイルは100μH、入力側を一般的なニチコンの電解コンデンサ47μF、出力側を
チップタンタルコンデンサ22μFです。 詳細はコチラへ→ HT7733Aについて まとめ記事
製作した昇圧回路です。基板は銅張積層板を切り出した奴で、銅張面をリューターで削って回路を形成。
といっても簡単な回路なので溝を何本か掘り込むだけで出来てしまいます。※なるべくコンパクトに作らないと性能が悪化するようなので注意。
出来た基板をUSBポート充電用電池BOXの回路と取り替えて完成です。
性能を測ってみた結果
入力-1.5Vの時 184mA 出力-3.28V 60mA 効率 約71%、
入力-3.0Vの時 79mA 出力-3.38V 60mA 効率 約85%、となりました。まぁまぁ良好な結果が得られています。
効率は負けますが、入力側の電流が79mA・184mAと少なくなり、USBポート充電用電池BOX回路よりも省エネで電池持ちに貢献となりました。
これで電池持ちは、単一アルカリならば確実に100hは持つかと思います^^
●明るさの比較
さて、明るさを比較して能力を確かめてみます。
まず電池4本の電球懐中電灯と並べて比較、写真ではLEDのほうが眩しく映っていますが肉眼では同じくらいの明るさに感じます。
次、前回つくったCREEのLEDを使ったライト(114lm)と並べてみました。断然CREEのほうが明るい・・・
やはり
30ルーメンの砲弾LED 1灯では、パワーLEDとは勝負にもならないようです。
こんどは壁に光を当てた感じで比較。 右:CREE-LED、中央:日亜NSDW570GS-K1、左:30cd超高輝度砲弾LED 6灯 です。
やはりCREE-LEDのライトが猛烈な明るさで目立ちます。
30cd超高輝度砲弾LED 6灯のライトと、日亜NSDW570GS-K1は、だいたい同じくらいの明るさに見えます。
ただ、今回製作した日亜LEDの方は、リフレクターが上手く機能しているので、照度の高いスポットがあるのが利点です。
なかなか明るくて電池が長持ちする、総じて良い懐中電灯になったと思います。