T16(T15)ウェッジ球・18連LEDバックランプ(後退灯)を自作する

 

ノーマルのバルブはT16ウェッジ球#921(12V・16ワット)で結構明るい電球です。オスラム(Osram)の同型バルブをカタログで
調べてみると、光束は310ルーメンでした。300ルーメン以上得るには高効率パワーLEDでも3.5Wクラスの威力が必要となります。

しかし、パワーLEDでは放熱の為にヒートシンクが必要だし、車のリフレクターに光を拡散させる事が厄介です。
通販で売ってるPowerLEDバルブパーツ(ヒートシンク、レンズなどのセット)の利用も考えましたが、スポット光線になってしまうので
光が拡散せず、見た目で不自然になりそうな気がして止めました。(このへんはテールレンズ形状など車によりけりだと思う)

あとは、3chipSMDかFluxLEDや砲弾型LEDを使う多灯しかないのですが、今回は予算都合でFluxLEDと砲弾型LEDにしました。

 

 

●用意した部品


・日亜、雷神 超広角白色LED (NSPWR60CS-K1) Vf:3.1V、If:50mA、色調:b4、光束:18.0-21.4ルーメン(P8)、指向角:150°、12個使用。

・日亜、超広角5mm白色LED(NSDW570GS-K1) Vf:3.4V、If:70mA、色調:b4 光束:30.3-36.0ルーメン(P11)、指向角:140°、6個使用。

信頼性と耐久性を重視で、贅沢にも全て日亜LEDを採用しました^^ あとは色調もランクb4で統一しています。
使うLEDの数が多すぎるだろって感じもしますがノーマル球の310ルーメンを上回るには仕方ないんです・・・orz
他に市販のT-15ウェッジベース、基板は銅張積層板を削って作ったオリジナル品です。

  

●回路図

後退灯は長い時間点灯するランプではないので
(最大5分くらいを想定)で発熱は余り考慮せず、
明るさ重視です。

また、今回はウェッジベース内のスペースに余裕が
あるのでブリッジダイオードを入れて無極性にして
みました。

電流は、電圧14.4Vの時で
・雷神 (NSPWR60CS-K1)に約53mA、

・5mm砲弾(NSDW570GS-K1)に約61mA、

合計334mA、消費電力は約4.8ワットです。


しかし、実測では14.4Vで約315mAの電流でした。恐らくLEDの順電圧の誤差や抵抗値誤差が影響してると思います。

光束は側面FluxLED雷神(20 lm)12個で240 lm、先端5mm砲弾(26.4 lm)6個で158 lm、という感じで約390ルーメン程を見込んで作りました。
雷神は8個でも十分な感じもしますが、光が白色になると視認性が悪くなるらしいので多めにしています。

 

 


 
●取り付け用の基板の削り出し

 

基板は銅張積層板(生基板)を正方形に切り出して、それをマンドレルに固定してリューターで高速回転させながら石に擦り付けて
ガリガリ削っていきます。面白いほどサクサク削れますが大量に粉塵が飛びますw
パターンを作る場合はエッチングすればOK。エッチング液を持ってない私はリューターで銅張面に簡単な溝を掘って作ってます。

 

 

●側面部分のFluxLEDの組み立て 雷神 (NSPWR60CS-K1)

側面にはFluxLED日亜 雷神を3個直列にしたユニットを4つ並べて使います。LED同士の接着は瞬間接着剤を使っています。
脚はそのままでは邪魔になって組み立てられません。脚は1/3ほどで切って短くし、内側に折っています。
わざわざ残りの脚を内側に曲げて残しているのは、発熱を逃がす為の面積稼ぎです。
 

 

FluxLEDのユニットにスズメッキ線を使ってハンダ付けして直列につなぎます。これを基板に差し込んで組み立てます。

ここで組み立て後のLEDの外径がΦ16mm以下じゃないと車に取り付けられなくなってしまいます。結構シビアです。
位置が決まったらLEDと基板は瞬間接着剤で固定。基板の直径は12.5mmで、T15ウェッジペース内に組み込みます。

  

   

FluxLEDの基板側がプラス極です。反対側のマイナス極は全部繋いであります。
一応これで側面のFluxLEDは完成。次は先端部の5mm砲弾LEDの部分を作っていきます。だんだんと形になってきました。

  

●先端部分 5mm砲弾LED(NSDW570GS-K1)6発 

基板の銅張面を上にしてLEDを配置して半田付け。これは基板の銅張面に熱を逃がして放熱させる為です。
基板の直径はΦ15mmです。LEDをこの形に配置したLED部分の外径はΦ16.5mmほどになりました。
※Φ16mmを少し超えてもソケット穴径には余裕があるだろうと思ってましたが駄目で、後からLEDを削るはめになりましたorz
裏面にはマイナス側のリードと、抵抗51Ωを取り付け。
 

 

こいつをFluxLEDの内側に差し込んで固定すれば、ほとんど形は完成します。

51Ωの抵抗の部分がFluxLEDの脚と接触してショートすると駄目なので熱収縮チューブで覆ってあります。
 

  

T15ウェッジベース側の基板にFluxLED用の制限抵抗を取り付けていきます。
1/2Wの75Ωの抵抗が手元になかったので、小型の1/4W 150Ωの抵抗を2つ並列に組み合わせて75Ωとして使いました。
スペースにはゆとりがあると思ってたのですが、抵抗のせいでゴチャゴチャになってしまいました・・・ブリッジダイオードを付け
るスペースが厳しいですが隙間に強引に配置。 ブリッジダイオードは小型のS1ZB60です。

 

  

ブリッジダイオードの入力側にリードの脚を取り付けてます。あとはウェッジベースを被せればバルブの完成です^^
ウェッジベースは接着で固定してしまうので、この時点で正常に点灯するか確認しておきます。

 

  

LED通販ショップで売ってたT15ウェッジベース(クリアタイプ)を使いましたが、ちょっと長さがあり過ぎなので短くカットしました。
上端を3mmほどカット。軟らかめなプラスチックだったのでハサミで切り取ることが出来ました。

 

  

今回作ったLEDバルブは長細い形状で頭が重いので、車の振動などで緩んでソケットから脱落する恐れがありました。
一旦リフレクタの中に落ちてしまうと取り出せなくなります。そこで、ウェッジベースに脱落防止に糸を取り付けて適当な場所に
括り付けて脱落しないようにしました。糸は丈夫な釣り糸(EPライン)。

ウェッジベースを取り付ける前に、ブリッジダイオードの端子が付近の抵抗の端子に接触してショートしそうだったので絶縁の
ために収縮チューブを被せて絶縁しました。

 

   

あとはウェッジベースを取り付けて接着して固定すれば完成となります。接着にはエポキシ系接着剤を使いました。
14Vで点灯させてみると明るいです!凄い威力。

発熱:14.4Vで点灯させて5分後の温度が、側面部の雷神の中央表面で約67℃、先端の5mm砲弾の中心部表面で約80℃

飛びぬけて5mm砲弾(NSDW570GS-K1)の発熱が高い。表面積が少ない上に高出力なので仕方ないですが、思ってた以上です。

とりあえず、どちらとも最高使用温度:85℃のLEDなので5分連続点灯でも大丈夫そう。

NSDW570GS-K1を密集して使用した場合の発熱について→日亜NSDW570GS-K1 LEDの発熱

  

●完成

生基板の茶色が目立つのと、透明なウェッジベースから中が見えてしまうので、シルバー色で塗装しました。
仕上がり寸法は全長57mm 直径約16mm。 先端の5mm砲弾型LEDの部分だけΦ16.5mmほどあります。

 

  

いざ車に取り付けようとしたら問題発覚。T15ウェッジベースが太すぎてソケット干渉してしまい、入りませんでした。
ソケットの両端に突起物があって、そこがウェッジベースに干渉して差し込めません・・・orz

急遽、ウェッジベースの干渉する辺りをリューターで削って細くしました。今回は応急処置でソケットに取り付ける事ができましたが、
作る前に一度はソケットに取り付け可能かを確認しておかないと駄目ですね。

 

  

またまた問題発覚。今度はリフレクター側のソケット穴をバルブが通らなくて入りません・・・(ノД`)・゚・
先端の5mm砲弾型LEDの部分でつっかえてしまいます。どうやら直径16mm未満じゃないと通らないようです orz
純正バルブがT16だから16mmより穴は大きいだろうなんて思ってたんですが、(純正バルブはΦ15mm)勘違いw
これだけはやりたくなかったのですが、どうにも出来ないのでLED側面をリューターで削り落としてダイエットしました。
削った面は擦れて白くなりますが、プラモ塗料などのクリアー色を塗れば透明感が戻って目立たなくなります。

  

 


 

取り付けてみた様子。バルブの全長が長いのでレンズに近いだけ透けて見えます。
レンズカットされているので丸見えとはなりませんが、バルブ先端の5mm砲弾型LEDはハッキリ透けてます。+まぁ・・・仕方ないですね。
点灯した感じはGood! リフレクタ全体に光が拡散してくれてます。超広角タイプのLEDなので、どの角度からでも視認性は抜群。

 

 

●ノーマル球とLEDとで比較。(左側:ノーマル電球、右側:LED)

左の写真は曇りの薄暗いなかでの撮影、右の写真は夜間の撮影です。
まだ明るい曇天ではあまり大差ない感じに見えますが、夜だとノーマル電球よりLEDの方がやや明るい感じに見えます。
 

 

両方をLEDにしてホワイト光になると、かなり印象が変わります^^ 爆光とはなりませんでしたが満足いく明るさは確保できました。
撮影時は小雨で、路面はウェットでしたがLEDの白色光でも視認性が悪くなるという感じはそれほどしませんでした。
使ったLEDの色調に青味があまりない、黄色成分のあるランクb4で統一したのが良かったのかもしれません。

  

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