●LEDのデータシートについて

メーカーが公開しているLEDのデータシートについての簡単な解説。そのLEDについて詳しいスペック、特性などの情報が判ります。
とりあえず、LEDスペック項目や特性についての詳細は実際のデータシート(日亜NSPW500GS-K1)を抜粋して説明したいと思います。
※詳細な情報を載せてるのは大手メーカーくらいで、激安LED(大陸系とか)は簡単な情報だけの場合が多いです。

 

 

■ 絶対最大定格 (Absolute Maximum Ratings)

絶対最大定格は、LEDを壊さない為に、どんな使用条件であろうと超えてはいけない限界値です。

 

・最大定格 順電流(I f) (Forward Current)

最大定格の順電流はLEDへ流していい電流の上限です。

出来るだけ明るくLEDを最高の能力で使いたいなら、絶対定格の30mAの順電流で
使用すればいいって思いがちですが、普通は(標準)の順電流で使います。
※最大定格電流で使ってダメって事は無いと思いますが、お勧めは出来ません。
また、 LEDを適切に使う上での順電流の限度は温度条件によっても変わります。
右のグラフは、周囲温度-許容順電流特性です。

(Ambient Temperature vs Allowable Forward Current)

これを見ると、周囲温度が47℃程度までなら30mAが限界値ですが、それ以上の
温度ではではガクっと下がって、65℃では20mAが限度になっています。
更に絶対定格の動作温度条件の85℃からは0mAになっています。
なので、LEDに有利な条件で使うには涼しく通風が良い場所が吉です。
周囲温度が高くなる場所や、密閉されてたり熱が篭るような条件で使う場合は、
温度条件に合わせて電流を抑えないとマズイです。

 

・パルス順電流(Ifp) (Pulse Forward Current)

LEDを高速で点滅させることで明るさを制御するデューティ制御方式という点灯の仕方をする場合の順電流の上限。
普通に(直流で)点灯する場合は関係ないです。デューティ制御はよく知らないのでこれ以上触れません (^^;)

 

・逆電圧(VR) (Reverse Voltage)
逆電圧 は、LEDが点灯しない反対向きで電圧がかかった場合の耐圧です。これを上回る逆電圧がかかると逆電流が流れ
てLEDを破損する恐れがあります。※静電気でも壊れるのでご注意を。
 

・許容損失(Pd) (Power Dissipation)

許容損失は、許容できる電力の最大値です。順電圧(Vf)×順電流(If)が電力ですので、定格順電流を守れば超えません。

 

・動作温度(Topr) (Operating Temperature)
LEDを点灯している時の周囲温度です。(先に順電流でありましたが、このLEDの場合は85℃以上でアウト)
熱的に厳しい環境で使う場合は注意しないとLEDを壊してしまいます。

 

・保存温度(Tsol) (Storage Temperature) LEDを劣化させることなく保存できる温度。

 

・ジャンクション温度(Tj) (Junction Temperature)
LED素子部分の温度。LEDの使用できる温度はジャンクション温度によって決まっています。
この温度が最大値を超えると著しい光束低下や場合によっては不灯など故障してしまいます。
出来る限り低い温度に抑えて使う事で長寿命になり、LEDでは温度上昇を抑えて使用する熱設計が重要です。

 

 


  

 

■ 電気的特性・光学的特性 (Electrical/Optical Characteristics)

*Ta=25℃ *色度座標 CIE 1931色度図に基づく

ここで出てくる電流(順電流:If)と順電圧(Vf)の値が通販サイトなどで示される(標準)パラメータになってます。
メーカーの高温動作テストなどシビアなテストもこの値でやってるので、この電流で使ってれば大丈夫でしょう。

色度座標は、xy色度図に対応したLEDの発色を示す座標です。
例えば一概に白色LEDといっても、色温度の違いや、青っぽい黄色っぽい、など微妙に色が異なるので色調の参考になります。

 

■ ランク分け

LEDの順電圧(Vf)には個体差があって一個一個でバラつきがあります。(このLEDの場合は最小2.7Vから最大3.5V)
LEDによっては順電圧(Vf)のバラつきをランク分けして、最小限のバラつきで購入できるようになっていたりします。
このLED(日亜NSPW500GS-K1)では、光度と色度のランク分けのみで順電圧のランク分けは無いようです。

 

 

■ 電流温度特性

LEDは温度や流れる電流によって順電圧(Vf)が変化します。また電流と光束の関係や、温度と光束の関係などの特性がわかります。

・順電圧-順電流特性(Forward Voltage vs Forward Current)

LEDへ順電流と順電圧の関係のグラフです。LEDはたくさん電流が流れるほど電圧降下(順電圧:Vfが上昇)します。
逆に電流が少ないと順電圧は低くなります。抵抗で制限するときはこれに気をつけて抵抗値を決める必要があります。

・周囲温度-順電圧特性(Ambient Temperature vs Forward Voltage)

周囲温度と順電圧の関係のグラフです。LEDは周囲温度や自己発熱で高温になるほど電圧降下(順電圧:Vf)が小さくなります。

抵抗器など順電圧によって流れる電流が変化する電流の制限をしている場合、高温によって順電圧が下がってしまうと流れる電流の量が
多くなって自己発熱が更に増す悪循環(熱暴走)が起こる場合もあります。

 

・順電流-相対光束特性 (Forward Current vs Relative Luminous Flux)
順電流(If)とLEDの明るさの関係のグラフです。LEDは電流によって明るさが変化するので、多く電流が流れるほど光束(光の量)が増します。
(標準)の順電流を100%とし、大概どのLEDも電流と光束の関係は正比例した感じに近いグラフとなっています。

・周囲温度-相対光束特性 (Ambient Temperature vs Relative Luminous Flux)

周囲温度とLEDの明るさの関係のグラフです。LEDは熱に弱いので、温度が高くなるほどジワジワと明るさが下がって行きます。

 

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