自作LEDテールランプ (T10ウェッジの赤色LED化)

今回はテールランプのLED化です。T-10ウェッジ球をLEDにするだけなので
簡単に出来ると思っていましたが、熱の問題で苦戦しました。
これがなかなか解決できず、ボツにした失敗作を幾つか作ってしまいました。
※ボツのヤツも失敗作編として記事の最後に載せました。

ウェッジ球と同等以上の明るさを得る為に、3チップタイプの赤LEDを使ったの
ですが、コイツが予想以上に熱くなりやがるんです^^;
テールは夜間など点けたままになるので、発熱は無視できない問題になって
きます。テールランプは重要な灯火だけに信頼性が必要です。
他に、レンズが赤色なので白LEDなら低い電流でも明るくできて簡単だと思って
試したのですが、色合いがピンクっぽくなるのでダメでした。


●使用しているLED

今回は2種類のLEDを使用しています。まず側面発光用がOptoSupply製5050-3chipSMD赤色。
スペック:Vf:2.1V、If:60mA (20mA×3)、3000~4200mcd、指向角120°、波長620nm
そしてトップ発光用がOptoSupply製4.8mm帽子型3chipLED赤色。
スペック:Vf:2.1V、If:60mA 、8400~10000mcd、指向角120°、波長620~625nm
どちらもLED素子が3チップ載ったタイプなのでとても明るいです。しかし、その分だけ発熱も増すので注意しなければいけません。

 

●回路図

5050-3chipSMDはLED素子1チップ毎を直列して、Vf:6.3VのLEDとして使います。
これに抵抗560Ωを入れて、14.4V時に約13.4mAの電流が流れるようにしています。電流を13.4mAに抑えているのは、これ以上だと
発熱量が限界なので已む無くです。
トップ部のLEDは4つを直列にして、120Ω(1/2W)の抵抗を入れて約45mAの電流が流れるようにしています。こちらも発熱の理由で
電流を抑え気味にしています。 あとはマイナス側に逆流防止で整流ダイオードを入れています。

 

 

●テールLEDバルブ作成編

3チップタイプのLEDは明るいのですが、発熱も3倍です。この発熱が原因で失敗作を幾つも作ってしまいました・・・
単体で使えば周囲へすぐに熱が逃げてくれるのですが、多数が密集した状態では熱が篭って温度が上がってくるようです。
特にSMDタイプだと表面積が無い分、熱が逃げにくくて厄介です。
そこで、基板に銅張積層板を使いました。表面全体が熱伝導の良い銅なので、この面へ熱を逃がして放熱させます。
面積はソケット穴径が許す限り大きくしたので、幅10.5mm×長辺15mmとなっています。
基板は厚みがあるので、端の部分を斜め45度に削ってカットしています。


 

トップ部分の帽子型3chipLEDを付ける基板を作ります。直径は約14mmあります(私の車のテールのソケット穴径は約15mmです)
銅張積層板を手作業で綺麗な円形に削り出すのは面倒なので、手軽にリューターを使います。
少し大きめな四角に切り出した板の中心に穴を開けて、マンドレルに刺し込んで固定します。
あとはリューターで回した状態でヤスリや砥石(適当な石コロでも可)に擦れば簡単に円形に削れます。
ただし、猛烈に粉塵が出ますので吸い込まないようにマスク必須。あと、粉塵を吸う掃除機がないと辺りが粉だらけになります。

 

 

切り出した銅張積層板をエッチングします。複雑なパターンではないので、私は銅箔部分をリューターで削って作りました。
レーザープリンターとエッチング液があれば手軽に綺麗なエッチング基板ができるそうなのですが、私は経験がありません。
いつかやってみたいな、と思ってますが・・・液が高いんですよね^^;
基板にパターンを作ったら、ここにLEDと抵抗を載せて、ハンダ付けします。 抵抗はチップタイプにしています。

 

 


  

トップ部分の基板に帽子型3chipLEDを取り付けてハンダ付けします。
この部分もLEDの脚から銅張積層板の表面へ熱が逃げて放熱が出来るよう、わざと表に銅箔面がくるように作っています。
裏側には、リードと抵抗120Ω(1/2W)を付けています。
私の場合、120Ωの抵抗が手持ちに無かったので、240Ω(1/4W)を2個並列に組み合わせて使いました。
 

 

基板を組み立てて配線します。配線材にはエナメル線を使いました。
基本的な構成は、「エルパラ」さんで売られていた専用基板の構成をアレンジして作ってあります。
5050-3chipSMDに対して基板が異様に大きいように見えますが、これでもLEDをフル出力で使うと放熱しきれません。

  

下側の様子はこんな感じです。 ウェッジベース側に出す脚と、逆流防止の整流ダイオードが付けてあります。
最後にウェッジベースを被せて接着すれば完成です。ちょっと見てくれは悪いです。
仕上がり寸法は、直径14.5mm、全長40.5mm(ウェッジベース含)になりました。

 

  

試しに点灯させてみると、いい感じに明るい。特にトップ部分が失敗作版よりも光量が多いので目立ちます。
気になる発熱ですが、常温下でペットボトルを被せて実際に近いように密閉を再現して測ってみたら、62℃で安定しました。
熱に配慮した割には温度が高めでした。うーん・・・思うようには行かないですね、50℃くらいだと大成功だったのですが。
この後、1時間半経っても62℃前後で安定していたので、ひとまずこれでOKとしました。

 

 

車に付けたときに、銅箔面が目立つかな?と少し心配していたのですが
実際、テールランプに取り付けてみると、リフレクターのボコボコ面に紛れてしまうので外からは殆ど目立ちませんでした。

 

 

●取り付けて点灯させた様子

点灯させた感じは、ノーマル電球と明るさはほぼ同じ程度になりました。大きく違うのは色が違います。
LEDの方が赤が濃いです。電球の方はオレンジに近い赤・・・とにかくLEDのほうが赤色がキリっとしています。
信号機も電球式、LED式で色が違いますが、それと似たような色の違いがあります。
右の写真はLEDバルブとノーマル電球との比較です。左:LEDバルブ、右:T10ウェッジ電球。
残念ながらデジカメではLEDも電球も同じ色で写ってしまいます・・・明るさも肉眼で見ると同程度なのですが、なぜか写真だと電球の方が
眩しい感じに写りますね。実際はLEDのほうがリフレクター全面に光が広がって視認性がいいです。

 

 


 

  
おまけ、失敗作編 (かなり熱を持つので、常時点灯させるテールに使ってどれ程の間壊れずにもつか不明です) 

T10ウェッジ球を5050-3チップSMDを使ったLEDバルブを手軽に作れる専用基板があったので、これを使うことに。
専用基板は「エルパラ」さんにて購入。SMD5連タイプと、9連タイプがありましたが、5連では光量が足りない気がしたので9連にしました。
5050 3chipSMDはOptoSupply赤色です。Vf:2.1V、If:60mA(20mA×3)、3000-4200mcd、波長625nm
片方9個、両方で18個も3チップSMDを使うのでLEDの金額が結構高い。
基板の裏面に抵抗を付けます。本来はチップタイプの抵抗を使うところですが、コスト削減で安い小型1/4w抵抗を使いました。

 

  

全部ハンダ付け、SMDはハンダ付けのパターンが狭いので、ハンダつけの難易度は高めです。 SMDタイプのLEDは特に熱に弱いので
手早く確実にハンダ付けしてあげないと熱で壊してしまうので注意。
基板を組み立てて行きます。パズルを組み立てる要領で何だか楽しいです^^ 良く出来てんなぁと思いました。

 

基板部分完成です。
下の入力部分には逆流防止の整流ダイオードをつけて、ウェッジベースへ出すの端子脚を取り付けます。

 

回路図

専用基板の回路そのままです。SMDのチップ3つを直列にして抵抗を入れた回路が9連の並列になっています。
抵抗は510Ωを入れてあり、各LEDには14.4V時に約14.7mAが流れるようにしています。
順電流はLEDスペックにある20mA×3に対し73%になります。


完成。 仕上がりのサイズは全長が約39mm、直径はSMDの出っ張りを込みにして約12mmでした。
試しに点灯すると、なかなかの明るさ^^ とりあえず明るさはノーマル球以上ありそうです。   

ですが、ここで大問題!! 熱ッくなります・・・しばらくすると触れないくらい熱くなるのです・・・orz

SMD面の温度を測ってみると10分もしない内に70℃位まで上昇。データシートを見ると使用温度の上限は85℃なのでマズイです。
テールランプは夜間は常時点灯なので、このままでは過熱で壊れる恐れがあり、致命的。
これじゃ肝心な時に壊れて不灯になるかもしれないので使えません・・・ なので、出力を更に低く抑える改良を加える事にしました。
よく考えると発熱は当たり前です。14.7mAで点灯させるとSMD1個当たり0.093Wで、9個あるので0.83W、と1W近い値となります。
個々をバラバラで使えば熱はさほど気にならないのですが、密集させる事で熱が篭ってしまうようです。
加え、抵抗の発熱が0.119W、9系統あるので1.07W。合計1.9Wと結構消費します^^;

 

 

改良した回路図

基本的には前の回路そのまま。とりあえず、入力の+側の大元に抵抗24Ωを入れて電流を減らしました。
これによってLEDへの電流は15.2mAから11mAに抑えられます。SMD1個あたり0.07W、9個で0.63Wとだいぶ減っています。
 

追加した抵抗はこんな感じで整流ダイオードの隣に収まります。 試しに点灯、う~ん、11mAじゃかなり暗くなった気がします。
車に取り付けて点灯させてみてもノーマル球よりも薄暗い・・・目指すのはノーマルと同等か少し上回る明るさなので、コレじゃダメです。
この時に気が付いたのですが、2段ある内の上段のLEDがリフレクターの焦点から外れしまうので活かせていない事が発覚・・・orz
発熱はどうなったか測ってみると結構改善しましたが、1時間程経つと70℃近くまで温度が上がってしまっていました。
出力を11mAまで抑えてもバルブ全体では1.4Wです。放熱面積が少ない現状では熱はこれ以上どうにか出来そうにありません。

ノーマル電球よりも薄暗い割りに発熱するし、割に合わない!
って事でこのバルブはボツです。発熱を踏まえて最初から作り直すことにしました orz
 

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