自作LEDポジションランプその2 (耐熱仕様バージョン)

LEDポジションランプ

前回作ったLEDポジションバルブは日亜NSDW570GS-K1を3発でやりましたが
熱に不利な仕様で、
私の車は、ライトがハロゲンバルブと一体なため、もろハロゲン球の熱に晒され
て過熱によって壊れる可能性が高い、が悩みの種でした。
どうしようか色々と悩んだのですが、今回は、高温下でも耐久力の高いLEDで
日亜NS9W153MTを使います。ちょっと値が張るけど^^;
ライトの内部温度が100℃くらいであれば、恐らく、耐えれるんじゃないかな~
たぶん・・・ 。
LEDはチップタイプの照明用の3.6WパワーLED、もちろん放熱器は必要ですが、
出力を抑えて、LED自体の発熱を極力少なくしています。


●前回(NSDW570GS-K1)と、今回(NS9W153MT)のLEDのスペックの違い

NSDW570GS-K1

●日亜NSDW570GS-K1

順電流(If):70mA
順電圧(Vf):3.4V
光束:25.5-30.3ルーメン
動作温度:-30~+85℃
ジャンクション温度(Tj):100℃
周囲温度-許容順電流特性:85℃-21mA
●信頼性(耐久試験)
連続動作:25℃-80mA-500時間
高温連続動作:60℃-50mA-500時間
標準仕様書PDF

砲弾タイプは発熱が少なめで、見た目は熱にも強そうな感じがするのですが、耐久温度はそれほどでもないですね。
それに、複数束などして密集して使うと熱が篭るので不利になってきます。特性上、熱い状態では85℃だと21mAしか流せない。
もしヘッドライト内部が80℃になると仮定すると30mAくらいなので、てんでダメ。
 

NS9W153MT

●日亜NS9W153MT(アルミ基板付)

順電流(If):350mA
順電圧(Vf):10.5V
光束:350ルーメン
動作温度:-40~+100℃
ジャンクション温度(Tj):150℃
周囲温度-許容順電流特性:100℃-151mA(Rja=30℃/w)
●信頼性(耐久試験)
連続動作:25℃-400mA-1000時間 (Rja=28℃/w)
高温連続動作:100℃-150mA-1000時間 (Rja=28℃/w)
標準仕様書PDF

LEDは中央にある4mm角くらいのチップ、このサイズで300ルーメン超だから凄い。10.5V動作ですが車で使うには好都合です。
スペックを見ると、さすが高出力照明用LEDですね~、動作温度やジャンクション温度が格段に高い。
更に、高温動作結果が100℃環境で150mA流して1000時間も耐えてるのだから素晴らしい、しかも放熱の熱抵抗は高めで。
これなら100mA以下であればライト内部が仮に100℃としても、最低でも1000時間は持つんじゃない?と期待しています。

 

●出力の決定と、回路図

今回使うLED(NS9W153MT)は、350ルーメンも発揮する高出力なものなんですが、そんなハイパワーで使うと発熱量も凄いので
巨大なヒートシンクが必要となります。試しに100%中の100%!350mAを流すと、圧倒的な明るさですが、熱も凄い ^^;
フルパワーで使わなくとも、前回作ったポジションバルブと同等位の明るさは欲しいところ。
で、照度計で探っていると約65mAで同等の明るさになりました。90ルーメン前後です。(順電流-相対光束特性の図でも確認)
350mAの20%以下の電流になるので、心配していた発熱量もさほどでもありません。
回路図は右図参照。抵抗は75Ω、電圧14.4Vで65mAが流れるようにしています。消費電力は14.4V時で約0.93W。

 

 


 

●LEDポジションバルブ 製作編

購入したNS9W153MTはアルミ基板付き。LEDチップ本体のみならば若干安くなりますが、このLEDはリフローハンダ仕様なので
手ハンダで基板に付けるのは大変です。熱で破損する恐れが強い為、基板付きにしました。
20mm基板のままでは大きいので使えな為、リューターで約11mm径に位になるまでひたすら削ります。
この作業が最も面倒な山場。うっかり静電気で壊したり、削粉でLEDに傷・汚れが付かないよう、しっかり養生して作業しました。

放熱板は模型用0.3mm厚アルミ板を加工して作っています。模型工作用アルミ板は軟らかくて加工が楽ちん。
アルミのフィンは10本の脚状になっています。こうしたのには理由は・・・下記へつづく ↓

 

●ライトの熱から放熱板を遠ざける

LEDの発熱を放散させる為の放熱板ですが、ライト内部(リフレクター内)のポジションランプの場所はハロゲンバルブに近い為
逆に熱を持ちそうな気がします。で、考えました。
私の車のポジションランプのソケットはコネクタから先端が伸びた形状になっており、そこへ放熱板を被せてやろうと。
これなら高温になるリフレクター側にはLED部だけ出て、放熱板はリフレクター裏側(ハウジングの空洞)に出ます。
リフレクターとハウジングの隙間の温度がどれ程か定かではないですが、ハロゲンバルブのそばに晒すよりはマシな筈です。

 

  

アルミ放熱板にLED基板を接着。LEDのアルミ基板には前もって配線を通すための小さい穴を貫通させてあります。
接着にはサンハヤトの「固まる放熱用シリコーン」を使いました。
アルミ基板のパターン配線上の塗料を削って、配線のエナメル線をハンダ付け。そのエナメル線を穴から下側へ通します。
 

 

制限回路は、小さく削った銅張積層板の上にチップ抵抗とダイオードをハンダ付けしてつくります。
チップ抵抗は150Ωを2枚重ねにして75Ωとして使いました。整流ダイオードには小型なスイッチングダイオードを使っています。

ウェッジベースに出す端子の脚を付けて、本体のアルミ放熱板の裏面に接着。 エナメル線を回路基盤にハンダ付けで完了です。
 

 


  

ウェッジベースはT-10のBタイプを使いました。
ベースはそのままでは長いので短くカット。長いままだとライトのリフレクター焦点位置からズレて反射光が弱くなります。
短く削ったウェッジベースを 基盤の脚に通して固まる放熱用シリコーンで接着。この時点でバルブはほぼ完成です。

 

  

アルミフィンが開いたままではライトに取り付けられないので、10本のフィンを慎重に折り曲げてやります。
フィンを全部下へ折り曲げると、なんとも見た目が奇妙なバルブになりました^^
でも、ライトに出るのは上だけで、下半分以上はリフレクターの裏側で見えないので問題なしです。
ちょっとソケットに取り付けるのが面倒ですけどね。

 

試し点灯。うひょー!眩しい。
常温で1時間ほど点灯してみましたが、LEDチップ付近のアルミ基板の温度は50℃前後で落ち着きました。合格です。
100℃になることを想定してるので、まだまだ熱的には余裕があるし、たぶん大丈夫でしょう。
最後に、LED基板面が白色だとリフレクター内で目立つのでシルバーに塗装。

 

 

ライトに取り付けるとこんな感じです。 思ったより目立ちません、ライトの中を覗き込んで見ない限り分らないくらいです。
点灯した感じも良好。あとはハロゲンバルブの熱で壊れない事を祈るのみです。
LEDの指向性120°と狭めでリフレクターへの反射が少ないですけど、こればかりはチップLEDだと仕方ないかなぁ・・・


 

今作のLEDバルブとノーマル電球との比較写真。
明るさは同等くらい。光源はLEDのほうが明るいですが、リフレクターの反射がやはり少ないな~。 
ノーマル電球は光がオレンジっぽいから白色光よりも目立ちますね。実用面ではノーマル電球のほうに軍配です。
できればLEDをもう少し明るくしたいところですが、発熱の問題があるので我慢我慢。

 

最後に、ヘッドライトの熱でLEDポジションランプがすぐ壊れないよう、できるだけ長寿命で使う方法をまとめてみました。
・夜間走行では長時間走り続けないで1時間毎くらいに休憩を入れ、ライトを消して熱を冷ます。
・駐車場・長い信号・踏み切りなど、停車中は走行風がなくて除熱が悪いのでライトを消して過熱を防ぐ。
・いっそのことライトをハロゲンバルブよりも発熱の少ないHIDバルブに換える。

 

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